2014 | 2_22 | Saturday
石井一男さんの絵
ご存知の方も多いかと思いますが、奇蹟の画家と呼ばれている石井一男さんのF4号グワッシュの絵です。そもそもなぜ奇蹟なのか、詳しくは書籍の「奇蹟の画家」をぜひご覧になってみてください。
また以前に情熱大陸でもご紹介されておりますので、YOUTUBEの映像でもその"奇蹟"の一端を見ることができます。今や展覧会を開催すれば、全ての作品が即完売してしまうほどの大人気作家さんですが、現在でも清貧ともよべる、絵を描くためだけに削ぎ落とされた質素でシンプルな生活を続けられております。作品のほとんどの題材は「女神」と呼ばれるイコンのマリア像のようなものなのですが、決してキリスト教を強く感じるものではなく、何かお地蔵さんのような、無垢な子供のような、とても不思議な雰囲気のする優しい作品でして、絵の前で思わず泣き出してしまう人もいるとか。石井さんは、書籍や映像で拝見しますと、まるで悟りをひらいた高僧のようなお人柄と生活をされておりますので、すべてを超越してしまったお方から生み出されるこの不思議な絵が、多くの人々に救いの手を差し伸べているのかもしれません。所謂"作品"として絵を手に入れるというよりも、何か人間に必要な物、家族の写真や思い出の品、大事にしてきた愛用の小物のような、お金にはかえられない大事な物を手にできたような感じでしょうか。実はこれこそが後世に残る芸術品の、ほんとうの姿なのかもしれません。
お客様からのご紹介で、本郷にありますギャラリー愚怜さんにて、石井一男さんの展覧会を開催しているとのお知らせをいただいたのですが、初日に行列ができるほどの盛況で、すべての作品が即完売、追加分も出したのに、さらにほとんど完売とのことで、これはもうだめだと思いつつ、一足遅れて大雪の日に展覧会へと伺ってまいりました。雪のため誰もいないのが幸いして、ゆっくりと作品たちを堪能することができましたが、たくさんの「女神」たちにまぎれて、なぜかこちらの絵が残っているのも不思議なもので、まるで私を待っていたかのようにひっそりと佇んでおりました。石井さんの作品には珍しく、暖かさを感じるものではなく、階段に二人の親子のような人がいるのですが、寂しそうで凍えているようで、雪の日に見たせいもあるかもしれませんが、ドシーンと胸に突き刺さるような感覚に陥ってしまいました。すぐに購入の旨を申し出て、こうして無事に持って帰ってこれましたが、よくよく眺めていますと、また違った暖かい表情もあり、見る景色やその時々によって雰囲気と表情を変えてくれるようです。何とも、人生で忘れていた大事な落とし物を取り戻してきたような、不思議な感覚のする絵でもあります。
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2014 | 2_16 | Sunday
Axel Saltoの蓋置 shinamono23
久しぶりに登場の、アクセル・サルト作品でございまして、ロイヤルコペンハーゲンでの1960年制作のものです。この作はまさにびっくりのお品でして、60年代当時に日本に伝わり、お茶人に拾われて、短いながらも今まで伝世をして大切に愛玩されてきた、お茶道具となっております。箱書きには、漢字にてデンマーク陶、フタ置とあります。朝鮮の筆筒の雰囲気を真似て作ったものでしょうか、サルトらしくアレンジが加わり、まるで動き出しそうな生命力を感じつつも、怪しい雰囲気でして、森の木々たちのざわめきも聞こえて来るようです。大きさが小振りなため、蓋置として見立てられたものと思いますが、使い勝手は抜群で、なかなかお見立てがよろしいお茶人であったと思います。透かし彫りのようなものですので、盃にはお使いいただけません。よくぞ伝えてくださった、まさに日本の文化にも感謝の逸品です。状態も申し分ないものです。
AS0218_13 Axel Salto(アクセル・サルト)蓋置 高さ7.2cm 幅5.7cm (ご売約)
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2014 | 2_8 | Saturday
仏手残欠 Huruimono07
本日関東地方も大雪。まだまだ積り続けるとのことで、一時の白銀の美しさはよいものですが、これが毎日となりますと重い苦労の産物になってしまいます。雪国の方々の忍耐力の強さをしみじみ感じてしまいます。少しずつ集まってまいりました、気軽で楽しい骨董品をご紹介するHuruimonoのコーナーです。今回は、元は観音像でしょうか、仏手の残欠です。古美術商の方によりますと、平安末〜鎌倉初期ぐらいの作とのことで、見識者により時代は微妙に変わるようですが、貴族から武士の時代へ、そして末法思想、さらに1000年周期による然る大震災もこの時代に日本を次々と襲ったという、激動の時代に生まれ出た仏像であったことに変わりはありません。どのような道をたどって、このような姿になったのか今となってはわかりませんが、極僅かな彩色と胡粉も残り、乾燥して締まった美しい木目が、出自の気高さを表しているようです。手には宝珠があったのか、その止め跡には緑青も見てとれます。今また激動の時代となった現代に、再び姿を現したこの腕が、長い長い苦難の歴史を語りたがっているように感じてなりません。私の心の中の片腕にでも、せめてなってもらえればと思い、手にした次第です。
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追伸です。先日ご紹介をいたしました愛知県陶磁美術館にて開催中の「モダニズムと民藝 北欧のやきもの」展の図録ですが、北欧器でも取り扱い云々と申しておりましたが、実はこの図録は県の出版物でして、認可されたお店でのみ販売が可能とのことであります。お問い合わせをいただいた方々、ほんとうに申し訳ございませんでした。図録のお求めはぜひミュージアムショップへお問い合わせくださいませ。
また、愛知県陶磁美術館のご好意によりまして、図録の冊数は確保しておりますので、ただいま北欧器にて北欧陶芸をお買い上げいただいた方全員に、ミッドセンチュリー 北欧の器―緑青ROKUSHO〈vol.8〉の2冊セットをご進呈させていただいております。無くなり次第終了いたしますので、この機会ぜひぜひ、検討をいただければ幸いでございます。
さらに引き続きまして、ミッドセンチュリー 北欧の器―緑青ROKUSHO〈vol.8〉は、北欧器でもお取扱いさせていただいております。全国送料無料で2,520円(税込み)にて販売をしておりますので、お探しの方はどうぞお声掛けくださいませ。
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