2017 | 6_18 | Sunday
ギャラリー北欧器のJapanese Galleryを更新いたしました
梅雨の最中、夏本番を前に、
木々が青々と茂る静かな雨音の季節となってまいりましたが、
如何お過ごしでございましょうか。
さて、Japanese Galleryにて、
いけばな教授者、渡来徹さんの華道のページ、
14〜28を更新いたしました。
前年同様に渡来さんには、生けたい器をストックの中からその場で選び、
即興で花を生けてもらうという、フリースタイルの仕立てをしてもらいました。
前回は春の花が中心でしたが、今回は季節も少し動きまして、
夏の花たちが取り揃いまして、全く別の表情が垣間見られました。
どんな組み合わせで、何が出るかは毎回の楽しみでもございまして、
今回も是非、新しい花と器の偶然の出会いを、
お楽しみいただければ幸いでございます。
次回は秋の実のものでしょうか。
このコラボレーションを引き続き是非、
ご期待いただければ幸いでございます。
渡来 徹 watarai toru
いけばな教授者。渋谷区神宮前にいけばな教室兼オーダー花店
『Tumbler & FLOWERS』を構え、 いけばなの面白みを
少しでも多くの人に知ってもらうべく活動中。
男性ファッション誌や女性情報誌での編集・ライターとしてのキャリアをもとに、
従来のいけばな教室とは違うアプローチでレッスンやワークショップを行なっている。
レギュラーのいけばな教室のほか、店頭やイベント、展示会場の装花なども手がける。
www.tumblerandflowers.com
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2017 | 6_12 | Monday
Axel Saltoの筒型花器 shinamono46
お久しぶりに、デンマークはロイヤルコペンハーゲンに所属しました巨匠、アクセル・サルトの筒型の作品が入ってまいりました。
サルトは、ウィルヘルム・コーゲと同じく、1925年のパリ万博、所謂アール・デコ博覧会にて、グランプリを受賞した画家でして、デンマークにおいてモダニズムの、デザイン運動を繰り広げた立役者でもあります。作風は全く違えどもコーゲと並び、スウェーデンとデンマークの両雄と称されまして、同じく陶芸をキャンバスに見立てております。その作品のコンセプトや造形能力、佇まいの素晴らしさは他の群を抜いております。こちらの筒型花器はアクセル・サルトのロイヤルコペンハーゲンでの作品で、恐らくは1940年代の制作です。自然の力強さを抽象的に表現をしました、氏のBuddingシリーズの一つで、サルト作品は、特にアメリカでの評価が高く、その中でも有機的に凹凸の出たBuddingシリーズは、たいへん人気の作です。アクセル・サルトの作品は、当時、デパートのコペンハーゲンコーナーにカタログがございまして、型番と写真を見ながら、お気に入りの釉の色で発注するという、オーダーメイドの彫刻的な要素がございました。全ては元のデザインはサルトが行い、オーダーによりコペンハーゲンの陶工たちが制作したものでして、世界には同じ型の作品が何点か存在をしておりますが、釉薬の表情や大きさまで、客注や焼成の具合により、一つ一つ違ったもので残されております。
こちらの作品は、サルトの作品の中でも、筒型の作品でして、サイズもより大振りなものから、もう少々小さなもの、有機文様も何パターンか存在をしており、当時より人気のシリーズであったと推測されます。こちらはその中でもミドルサイズほどの大きさです。雨で木の幹から雫が滴り落ちる様を、そのまま閉じ込めたような、躍動感のある佇まいでして、やや規則正しい涙型の文様が、縄目のように、全体にびっしりと配されており、実際に流れ落ちているような錯覚に陥ります。赤茶の釉が全体に掛けられ、その上から、ロイヤルコペンハーゲンお決まりの、”宋釉“がドロリと掛けられております。この釉は当時、コペンハーゲンが中国古陶磁の陶片を集め、研究開発をしました、“宋釉”と呼ばれるもので、コペンハーゲン在籍の他の作家の作品にも多く使われており、代表的な釉の種類として、サルト作品にも多用されております。まるで先ほど掛けたような、
艶かしく、生々しい表情はサルト独特のもので、躍動感のある造形と相まって、存在感と集中力はかなりございます。この合い掛けの釉は内側の奥底に至るまで、びっしりときれいに掛かっております。やや大振りな作品で、有機的な文様や釉の出来も良く、サルト作品をお探しの方にはおすすめの逸品です。状態もたいへんによろしいものです。
AS01705_1 アクセル・サルト 有機文筒型花器 高さ17.2cm 幅7.2cm 1940年代製
(ご売約)
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