2017 | 7_27 | Thursday
ギャラリー北欧器のStockを更新いたしました
暑中お見舞い申し上げます。梅雨戻りの関東地方でございますが、皆様如何お過ごしでございましょうか。さて長い間、売約ばかりでお叱りを受けておりましたが、ギャラリー北欧器のStockにてBerndt Friberg(ベルント・フリーベリ)のミニチュアたち、そしてWilhelm Kage(ウィルヘルム・コーゲ)の器たちを全て、そしてBerndt Friberg-5にも少々器を追加をいたしまして、再撮影にて更新をいたしました。ベルント・フリーベリのミニチュアは初お披露目作品を含めまして47作品をご紹介をしております。どうぞ少しだけ大きな画像、違うアングルにてご高覧くださいませ。
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2017 | 7_18 | Tuesday
Gustavsberg
買い付けで北欧諸国に行って参りましたが、グスタフスベリの博物館にて、ウィルヘルム・コーゲ展が開催中とのことで伺って参りました。現在ストックホルムの国立博物館は改装中で、グスタフスベリ博物館に出張という形でコーゲ展が開催されており、入場も無料になっておりました。ストックホルムからは高速道路を使ってバスで30分ほど。海辺の別荘地が並ぶ美しい港町にグスタフスベリはありまして、ヴィンテージを販売するアンティークショップ、現行品のB品を販売するお店や、カフェ、レストランなども入る大きな観光地になっておりました。
土の精錬機の歯車でしょうか。オブジェのようにグスタフスベリ入口に鎮座します。昔はかなり広い敷地に煙突のある窯や工場が数多く点在していたようですが、現在は取り壊されたり、そのままオフィスやカフェ、スーパーが入るなど、随分と様変わりをしております。人口増加により近代的な建物も急ピッチで作られ、当時の面影はだいぶ少なくなってきているようです。
大きなレンガ作りの建物の裏手には、当時のスタジオが入っていた建物が残ります。ここに、コーゲをはじめ、ベルント・フリーベリやスティグ・リンドベリ、リサ・ラーソンに到るまで、皆が出入りをしていたと思いますと何とも感慨深いものです。今は扉の鍵が閉まっておりますが、窓ガラスから中を覗きますと、当時の作家たちの息吹が聞こえてきそうで、ワクワクいたします。
敷地中央にはグスタフスベリ博物館があります。所蔵作品は40000点以上もあり、1825年の創業から93年工場閉窯の最晩年までの作品たちを一堂に見ることができます。普段は入場料が必要ですが、国立博物館の夏の特別展ということで9月3日まで入場は無料です。
本丸のコーゲ展へ。今年はコーゲが「労働者階級のためのディナーサービス」というキャッチコピーで、テーブルウエアを製作し初めて100年の年にあたり、国立博物館が彼の作品を収蔵し始めてからも100年、そしてコーゲがグスタフスベリに来て100年という記念の年だそうで、国を挙げて彼の作品の大回顧展を開催している様子が伺えます。本当はストックホルムの大きな会場で見たかったというのが正直な所ですが、国民やディーラーたちに至るまで、彼への敬意は相当なもので、絶対に見ておいた方が良いと勧められました。希少な作品たちやテーブルウエア、映像に至るまで貴重な品々が並びます。
有名なポスターデザイナーだった彼の1910年代の作品たち。その後スウェーデン工芸協会の勧めで、グスタフスベリに移り、アートディレクターに就任します。移籍後当初はデルフトのような軟性陶器に絵付けを施すことから始まりました。
そしてよりフォルムを強調する真っ白な作品のSurrea(スレア)から、釉の色味とフォルムを追求する作品のCintra(シントラ)、さらには陶芸として一点一点を追求したFarsta(ファシュタ)、銀細工を施す工藝の域に到達したArgenta(アルゲンタ)と段階的に制作の探訪が進んで行ったことが伺えます。
ファシュタの制作に使用した道具類や釉薬のテストピースも初めて拝見をいたしました。道具がかなり繊細で美しく、そして綺麗に使われており、搔き落としなどの線の細かさが、このような艶やかな道具から生み出されているのかと想像いたしますと思わず感動です。釉薬のテストピースだけでもキリッと締まった緊張感を感じる、まさに作品とも呼べるものでした。フリーベリ以外にも、数名の名工がファシュタの制作に関わっていたようで、皆緊張した当時の様子をコメントしています。ファシュタシリーズの中でも最高峰と呼ばれる、テラ・スピレアを制作するコーゲの顔が何とも楽しそうで、心底嬉しそうなその笑顔はもう誰も止められません。いい写真です。
打って変わって、二階はグスタフスベリの創業からの作品たちを一堂に見ることができます。元々はレンガ会社から始まり、王族の食器から、便器や洗面台などの清潔陶器まで、様々なものを作っておりましたが、やはりモダニズム以降の時代が一番隆盛を極めたようです。
19世紀末は絵画のような、かなり華やかな作品たちが作られておりました。一つ一つ完全に手作業で行われていたようで、皿に施すための銅版の原型も陳列されております。中にはアルゲンタの原型となったと思われる、緑の器に銀細工が施された作品もあり、こちらの方がコーゲのものより細かく繊細な感じがいたしました。恐らくは王族や裕福な商人たちが使用したものでしょうか。どれも1800年代のものです。
清潔陶器の歴史も時系列に知ることができます。木製のものはおそらくは19世紀のトイレでしょうか。ちなみにストックホルムの市立図書館のトイレもグスタフスベリ製でそのロゴマークに少々驚きました。
こちらにもコーゲ作品が数多く並んでおりました。コーゲが製作しました、グスタフ国王所蔵の宋時代のコレクションを並べた、国立博物館での展覧会ポスターも見ることができます。1935年から36年まで、スウェーデンの陶芸研究家、ニルス・パームグレンと共にグスタフスベリで中国古陶磁の陶片研究が行われました。彼らの作品の中には中国宋磁のエッセンスがまさに凝縮されております。
モダニズムの作家たちのテーブルウエアやスタジオピースが、ほぼ網羅されて並んでおりましたが、やはり外せないのがベルント・フリーベリ作品です。巨大な花器作品から碗作品まで色々と並んでおりますが、やはり注目はミニミニチュアです。サイズ感はお写真ではどうしてもわかりませんが全てミニチュアよりも小さな幻の逸品たちです。ミニミニチュアにも大小様々なサイズがあり、一番手前のティーセットは極小中の極小で、これ以下の大きさは恐らくありません。推定2ミリのミルクジャーには完敗です。奥には磁器に絵柄を施したティーセットもあり、本当に素晴らしいの一言しか出ませんでした。スカンセンの歴史博物館ではドールハウスが並んでおりましたが、その食卓には同じように小さな器たちが並んでおりました。恐らくは西洋のドールハウスの影響がこのミニミニチュアには感じられますが、それを轆轤で作ってしまうフリーベリの技が超絶技巧であります。また北欧の王宮には、一本の象牙から複雑な球体や鎖まで作り込む、至極の至宝が多く所蔵されておりまして、石工やバイキングより受け継がれる彼らの技巧の素晴らしさ、手先の器用さは陶芸へも脈々と受け継がれているようで、その繊細な技は東洋だけではないのだと感服いたしました。
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2017 | 7_1 | Saturday
買い付けによる休業のお知らせ
7月8日(土)〜7月17日(月)までの間、北欧への買い付けのため、ギャラリー北欧器は休業をさせていただきます。メールでのお問い合わせは承りますので、ご用の方はこちらまでご連絡くださいませ。皆様にはご不便とご迷惑をおかけいたしますが、どうぞお間違えのないようにお願い申し上げます。
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