2025 | 2_13 | Thursday
葉山 加地邸
先日、いつもお世話になっている皆様にお誘いいただきまして、葉山にあります加地邸の見学会にお邪魔をしてまいりました。フランク・ロイド・ライトの弟子・遠藤新が1928年に建てた登録有形文化財の名建築を支配人の松橋さんの丁寧なご案内で、隅から隅まで堪能を致しました。その様子を少しご紹介させていただきます。
玄関から佇まいが美しいのです。家の内側外側共に配された大谷石。そして屋根の銅版の緑青の緑、アガベの緑、黒い木目、壁の黄土色。色の配色が整っておりまして、まるで折り紙で作ったようにピリッとしております。外側の赤茶の窓枠部分は、銅版を改修したばかりとのことで、まだ緑青がありません。時が経つと美しくなることを想定して作られていることに驚きです。
広いサロンのリビングルーム。家族が集まる場所として、天井はかなり高く広々としています。随所にフランク・ロイド・ライトを彷彿とさせる細工が施されており、光の当たり方まで計算されております。窓サッシには細かな細工が施されており、葉山の景色が絵画を見ている様に設計されているとのことです。山の斜面に作られていることもあって、家の廊下など随所には細かな段差があります。まるで水が流れ落ちる川のようなデザインで、その流れに乗ってリビングに自ずと人が集まって来るように設計されているとのことで、最後は六角形のテラス前の池に流れ落ちるイメージなんだそうです。建築に哲学を取り入れるところが、落水荘の様で、なんとも奥が深いです。
元々この家は加地さん一家が過ごしたお家で、その後、現在のオーナーさんが購入し、登録有形文化財に泊まれる宿泊施設になっています。子供部屋から、寝室、奥さんの部屋、ビリヤード場、ダイニング、テラスまで、当時のままをほんの少し改修して、100年前の姿を残しつつ、泊まれる贅沢がたまりません。キッチンとお風呂は現代風にリデザインされており、快適になっておりました。私は特に窓からの景色が気に入っておりまして、格子と外の光や木々のコントラストが本当に美しいものです。裏廊下の窓からの眺めもたまりません。
2階からの相模湾の眺めも最高です。柱の石積みのパターンは一つの組み合わせを裏返して重ねていったもので、暖炉やベンチなど、随所に展開されています。その他、メンテナンスや空調に至る細かな所まで、全て丁寧に計算して作られており、手抜かりが一切ありません。100年前に全力で考え抜いた巨匠の息吹を今でもひしひしと感じられる素晴らしい建築探訪となりました。ありがとうございました。
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