Nils Thorsson (ニールス・トーソン)
白マット釉鳥花草文花器
【モダニズムと民藝 北欧の器展 図録28ページ所載現品】
Miniature Bowl with Line Design
W 10.5-14cm H 22cm 1959年製
Aluminia DENMARK 1712 (1959)
デンマークのロイヤルコペンハーゲン製陶所で作家として最も長く在籍し、アートディレクターを務めた巨匠、ニールス・トーソンのアルミニア・ファイアンス・ファクトリーで製作した作品です。トーソンは1925年のパリ万博、アールデコ博覧会にて、ゴールドメダルを受賞しており、 アクセル・サルトやウィルヘルム・コーゲと並ぶ、巨匠の一人としてロイヤルコペンハーゲンの再興に、心血を注いだ作家です。アルミニア製陶所は元々独立した会社で、1882年にロイヤルコペンハーゲンに買収され、以後は軟性陶器(ファイアンス)専門に制作するアルミニア部門として工房が残りました。トーソンは、ロイヤルコペンハーゲンでは、中国古陶磁からの影響の強い、陶芸一点物作品を残していますが、アルミニアでは薄い陰刻の施された、定窯を彷彿とさせる作品を中心に製作しており、量産陶器を若手と共に製作して、成功を収めております。楕円形の筒型の花器に、白いマット釉が外側に施されており、内側は黒い釉薬が塗られております。外側の片面にはうずらの鳥が、もう片面にはカラーの草と花が陰刻で施されており、数物ではありますが、同手の文様の作品は、これ意外に見たことがないほど珍しいものです。状態は、内側に花器として使用した水垢が残ります。その他はたいへんによろしいものです。2014年の愛知県陶磁美術館での展覧会「モダニズムと民藝 北欧のやきもの展」へ出展をされている作品です。