08. Berndt Friberg (ベルント・フリーベリ)
黒茶釉扁平花器
Black brown glazed discus shaped vase
W 8.6cm H 7.3cm 1963年製
Gustavsberg G hand Friberg E (1963)
球体をぎゅっと押し潰した様な、胴体に厚みのある、扁平花器作品。全体に、黒に近い瑠璃釉が掛けられ、その上から、黒い茶釉が二重掛けされて、お互いが混ざり合い、黒に近い、濃く深い茶の表情が全体を覆っている。釉薬の表情としては大変に珍しいものである。口先は細長く伸びており、胴体とのバランスも美しい。曲線の柔らかさが、フリーベリの黄金期を感じさせるもので、陶磁器でありながら、指で押すと、まるで凹んで跳ね返る様な弾力さえも感じさせる、見事なラインである。今回の扁平花器作品の中でも、65年までのフリーベリ作品は、この張りのある、柔らかい曲線が存在するのが、お分かりいただけるであろうか。扁平花器作品は、もともと制作数が少ないが、釉薬や形の珍しいものは、さらに数は少なく、結局一点しか存在しないということもざらである。この作品も釉薬の珍しさ、そして形の柔らかさやバランス、緊張感のある佇まいなど、全て整った逸品であると、当時ご紹介したが、やはりその後、二度と現れることは無かった作品である。