10. Wilhelm Kage (ウィルヘルム・コーゲ)澱青釉線文碗
W 14.5-13.8cm H 7.3cm 1946年制作
Sign
Gustavsberg G HAND
Kåge FARSTA P(1946)
スウェーデンはグスタフスベリ製陶所に在籍した作家、ウィルヘルム・コーゲの外側と内側の表情が違う碗作品です。黄土色の素地全体には赤茶の釉薬が塗られて、内側は光沢のある肌の澱青釉が掛けられております。先にマット釉を全体に塗り、焼成した後、澱青釉を内側にのみ掛けて、再度焼成をすることで、この内外が違う景色を作り出していると考えられます。この表裏の釉薬が違う作品は、制作にはかなりの時間がかかるのか、また制作自体難しいのか、ほとんど現れることがない大変に希少な作品です。口縁からは外側に澱青釉が、所々流れ落ちており、良い景色です。コーゲ作品は、フリーベリが轆轤で正円の碗を作った後、おそらくはコーゲの手による手捻りでオーバル型に歪めております。見込みの澱青釉は、下に黒釉を塗ったタイプの、濃く深い色味のもので、引き締まった濃紺の世界が広がっております。釉薬の流れも大変に細かく、底に流れ込む毛並みは複雑で、まるでドロドロと流れ落ちる、青い溶岩を見ている様でもあります。器の外側の素地にはもともと、櫛で線文様がびっしりと彫られており、その上から刷毛で轆轤を回しながら、赤茶釉を塗っていったようです。器のどこを見ても細かく丁寧な仕事をしており、一切の手抜かりは見られません。この小さな器にかけた制作時間は相当なものであることが推測されます。状態も大変によろしいものです。