17. Berndt Friberg (ベルント・フリーベリ)
瑠璃鼠釉卵花器
Blue glaze and gray glaze egg vase
W 7.7cm H 10.1cm 1953年製
Gustavsberg G hand Friberg X (1953)
(ご売約)
大振りで、珍しい釉薬の表情の卵花器作品。全体に濃く深い瑠璃釉が掛けられ、その上から茶釉が二重掛けされているが、茶釉が鼠や黒に近い表情になり、全体を覆っている。50年代初期に見られる、瑠璃鼠の表情で、釉薬の毛並みも、まるでウサギの毛の様に細かく流れているのが特徴である。形は、胴体が縦長に伸び、口先が窄んだ、立ち姿の美しいタイプの卵型で、胴体もやや横に膨らんでいるため、堂々たる大きさを感じさせ、存在感は抜群である。この複雑で繊細な釉薬の表情が、大きな器全体を流れている様は、まさに圧巻である。50年代の繊細な作りと釉薬の表情は魅力的で、何度見ても飽きない。完璧で隙のない表情とは違い、その曖昧な釉薬の流れに、まるで自然物の様な美しさを、器に感じるからでもある。本人はこの仕上がりを完璧なものとは捉えなかったのだろうか。60年代にかけて、さらに釉薬の研究は続いていく。定番の瑠璃釉とは違う、瑠璃鼠の表情で、この大きさの卵作品は、かなり珍しい。50年代の繊細な作品も、少なくなっている中、今後この様な作品は、ますます希少性を増していく様に思う。良い作品は、まるで宇宙を見ている様な壮大な景色が、器体全体に広がっているものである。