ウェブ展覧会の第7回目は、「ベルント・フリーベリの書籍」と題しまして、
フリーベリ本人について書かれた唯一の専門書籍2冊をご紹介させていただきます。
ベルント・フリーベリは、まだまだスウェーデンでも専門的な研究が進んでおらず、
作家本人の専門書籍は、1964年に発刊されたハードカバーの書籍、Berndt Friberg「Keramiker」と、
1979年にスウェーデンの国立美術館で開催されたフリーベリの展覧会、
「Berndt Friberg Stengods Gustavsverg」の図録冊子の2冊しか存在しません。
「Keramiker」は60年代当時のままのまさに古書で、既に絶版のため、
近年ではほとんど手に入れることができない幻の書籍となっておりますが、
不思議な縁が繋がって、今回奇跡的に8冊まとめて私の手元にやってまいりました。
この書籍は122ページのうち、スウェーデン語の文章がほとんどで、以前は読むのにも苦労しましたが、
最近は翻訳カメラも充実しており、完璧ではありませんが、何とか全体を隅々まで読めるようにもなってまいりました。
書籍はフリーベリ本人が書いたわけではなく、Ulf Hård af Segerstad(ウールフ ホード・セーゲルスタード)という、
スウェーデンの美術史家が書いたもので、フリーベリの生い立ちから、背景、器の制作の変遷など、
編集作者がフリーベリを研究し、俯瞰で解説した内容で掲載されております。
作品については多くを語らないのが当時の作家の粋でして、
フリーベリ本人の口から語った言葉は残念ながら無く、
セーゲルスタードがフリーベリから聞いた内容が時より出てまいります。
図版も大変に興味深く、フリーベリの制作風景やスタジオの様子など、
器だけからは普段伺い知れない、フリーベリの実像を知ることができますし、
特に作品の図版は、フリーベリ蒐集や私の仕入れの基本になっている大事な写真たちで、
良いフリーベリ作品とは、というお手本がまさにここには掲載されております。
「Berndt Friberg Stengods Gustavsverg」は1979年に開催された、
本人の展覧会パンフレットの役割をしたもので、
ページ数が25ページと少ないものですが、制作年代サインの表や年表など、
文章から図版までフリーベリの基本が凝縮された良本です。
数年前に再販売が行われましたが、あっという間に無くなってしまいまして、現在はまた入手が難しくなっております。
今回は、79年発刊のものではなく、再販分で手に入れた残り一冊をお届けいたします。
師匠のヴィルヘルム・コーゲは6年前にも大規模な展覧会がスウェーデン国立美術館で開催され、
また来年2024年6月からも、日本の民藝との繋がりで、濱田庄司作品とのコラボレーション展覧会が、
スウェーデンの国立美術館で企画されており、ここ数年での注目や評価の再検討、研究が進んでまいりました。
フリーベリの研究はまだまだこれからという感じですが、
日本では以前、愛知県陶磁美術館に所属されていた際に研究し執筆された、
長久智子先生の紀要が愛知県陶磁美術館のホームページに残っておりまして、
フリーベリについて日本語で知ることができる貴重な論文になっております。
書籍はかなり古い古書のため、傷や焼け、凹み、破れや、ページの折れ、
さらには値段の書き込みなどがそれぞれ生じておりますが、
ダメージの加減で、ややお値段が前後しております。
特に「Keramiker」は今後はこの様な数を扱うことができない希少な書籍でございます。
お探しの皆様は、この機会にぜひお求めくださいませ。